iPodの「音の出口」を探して④ : Etymotic Research ER-6i ①
d0037527_3402651.jpg現在まで、最も長い時間私のiPodに刺さっているイヤホン。それが、補聴器メーカーであるEtymotic Research社のER-6iである。

過去記事でも書いたように、LAOXコンピュータ館での試聴で、「こんなイヤホンがあるのか」と驚きを与えてくれたのは、実はShure社のEシリーズであって、Etymoticのイヤホンではなかった(Etymoticのイヤホンが試聴できるところはほとんどなかったし)。ネットのレビュー等で、EtymoticのER-4シリーズが最高のイヤホンとして賞賛されているのはよく知っていたが、あのゲームボーイ付属イヤホンを更に醜くしたようなデザインは、とても耳から生やして街を歩けるものではなく、また3万オーバーと非常に高価であるということもあって、購買意欲が沸なかった。

そんなわけで、Plug改を使いつつ、ShureのE2Cが欲しいなァなどと思っていたのが去年の8月頃。そんな折、ネットでたまたま当時国内で唯一のEtymotic代理店であったAEDIOのサイトを見て、ER-6iの発売を知った。



d0037527_4152274.jpg何より私の興味をそそったのは、それがiPodをターゲットとして開発したイヤホンであるということ。それがゆえに、Etymotic社でありながら、あのダサいER4とは全く違う、なかなかナイスな外見であったということだ。
位置づけとしては、ER-6iはER4シリーズの廉価版だ。しかし、もともと音質には定評あるEtymoticのイヤホン。当然音も期待できるだろう。しかも低音域が弱いというレビューの多いER-6に、「Slight Bass」を加えた音ということで、低音重視の私にもピッタリ合いそうだ。
更に言うなら、まだ発売されてないモデルで、国内代理店がAEDIOのみという入手困難性も、「新しモノ好き」で「ちょっとだけ人と違うのが好き」な私の魂に訴えかけてくる。

E2Cは高音質で低音が元気だという評判も多く、なにより実際に試聴したことがあったので非常に惹かれたのだが、割と簡単に手に入るし、断線が多いらしいし、何よりもあのShure独特の特殊な装着方法が気になっていた。

そんなこんなで結局、音も聞いてないのにER-6i欲しい心に火がついてしまい、9月に入ってAEDIOの掲示板で第一期の販売がアナウンスされるや、すぐにメールで申し込みをしてしまった。AEDIOの迅速な対応で、数日後には現物が届いた。
ところで、このイヤホンは価格がなんと2万弱ほどもする。たかがイヤホンに出すカネとしては、あまりに非常識的だ。しかし、物欲に火がついてしまうと何が何でも手に入れたくなってしまう悪い癖があり、一般人ならなかなか越えないであろうイヤホンへの出費の壁「1万円」を、あっさりと飛び越えてしまった。ここで、ヘッドホン・イヤホンへの出費に対するタガが外れてしまったのは間違いない。

d0037527_543796.jpgイヤホンの現物は、思った以上に小さかった。見た目は、イヤホン本体はイイ感じ。ネットの画像で見ていたとおりだ。残念なのはケーブルの材質。はっきり言って2万円のイヤホンとは思えない安っぽさだ。しかもホワイトだと思っていたが実際は微妙にクリーム色。純正のイヤホンと比べても、その質感には少しションボリだ。
イヤーチップは、白い三段キノコと、オレンジのスポンジフォームが付属している。このオレンジフォームがまた微妙で、耳へのフィットと遮音性は良いのだが、いかんせんカッコ悪い。首から垂れ下げていると遠目にはまるで乳首だ。
ついでに言うと、白の三段キノコも最初はキレイなのだが、しばらく使っているとかなり黄ばんでくる。その状態はハッキリ言って人にはお見せできないほどだ。ま、外したイヤホンなんて、もともと見せるもんでもないけど。

しかし、このイヤホンのハイライトは見た目というよりは音質だろう、ということで、緊張の初装着。Plug改でカナルには慣れていたので、特段違和感なし。Plug改に比べると、より密着感・外界との遮断感が高い。
iPodにつなぎ、期待に胸膨らませて音を出してみる。しかしだ。
「ヘ?こんなもん!?」というのがファーストインプレッションだったのだ。2万円の、定評あるメーカーのイヤホン。確かに期待が大きすぎたのかもしれない。
ER6に比べて低音が増強されたという話だったが、全然その低音が聞こえてこない感じなのだ。低音大王のPlug改を使っていたから、余計そう感じるのかもしれない。低音厨である私としては、「やっちまった!」と正直思った。今まで、PlugにしてもPortaProにしても、初めて音を聞いた時に「イイ!」と思ったのだから尚更だ。
Plug改と付け替えて同じ曲を聴いてみても、やっぱ物足りない。こりゃPlug改の出番もなくならないなぁと思った。

しかし、イヤホンやヘッドホンの中には、車の慣らしのように、しばらく使わないと本領発揮しないというモノもあるらしい。いわゆるエージングというヤツだ。
そんなワケで、納得できない感はありつつも、しばらく通勤のお伴として使っていた。当然EQの「Bass Booster」をONで。
そんな中で気づいたのは、遮音性がスゲーということ。Plug改よりは確実に外界の音を遮断している。オレンジフォームは更に強力で、電車のアナウンスもほとんど聞こえないレベルだ。地下鉄通勤の私にとっては、これは非常に魅力と感じた。

半月チョイ使っているうちに結構慣れたのか、低音の無さが気にならなくなってきていた。そんなある日、ふと思いついてPlug改を引っ張り出してきて聞いてみた。そこでビックリした。
Plug改、音が汚いと感じるのである。
確かに低音は出ている。しかし、どう表現して良いのか分からないが、キラキラ感が無いというか、篭ってるというか、多分これが「解像度が低い」ということなのかなぁ・・という感じ。前はそんなことは思わなかったのに。

このことで俄然ER-6iを見直すこととなった。意識してよくよく聞くと、低音は意外に出ていた。ドンドンとは来ないが、なんというか、タンタンという歯切れの良い感じで、出ている。やはり低音の音圧のようなものは感じないのだが。
それよりも、今まで低音ばっかりに意識が行っていたが、なんというか全体的にキラキラ感(それはたぶん解像度の高さの私なりの解釈)があり、かつ篭ってないことに気づいたのだ。
改めてPlugと聞き比べをしてみる。すると、色んな音が入り混じる曲や、あまり低くない音が中心となっている曲で、ER-6iの性能に気づかされた。
中でも感心したのは、Michael Jacksonの「Black or White」で、カルキン君が「Eat This!」と叫んだ後の曲の導入部(細かいけど・・)。あそこは色んな音が入り混じるのだが、それがER-6iだとPlugと比べ物にならないくらいにクリアなのだ。それはすごく「気持ちがいい」と思えるほどのものだ。ちなみに、マイケルのCDは録音に金がかかってるらしく、音がいいという噂で、確かにそんな気がしないでもない。それでイヤホン比較によく使っている(圧縮音楽でもCDの録音品質が影響するのか、その辺よく分からないが)。
もう一つ、よく比較に使っている曲が、これまたメジャーでアレだがVan Halenの「Jump」だ。この曲でもER-6iの音が圧勝と感じた(HD25-1は更に上で感動モノだが)。

なぜER-6iの良さにすぐ気がつかなかったのか。低音ばっか気にしてたからかもしれない。ひょっとしたら、エージングで良くなったのかもしれない。単に耳が慣れた(耳エージング)だけなのかもしれない。よく分からないが、他のイヤホンを使ってみて、初めてその魅力を理解したのは確かだ。
Plug改の音は今でも嫌いではない。むしろそれはそれでアリと思う音だ。だが、当初予想に反し、今は通勤でPlug改を使うことは無い。
ER-6iの音は、特色のある音ではない。だから私のような素人には分かりにくい。しかし使っているうちに、「他のイヤホンに戻れない」耳になってしまう。そんな不思議な魅力を持ったイヤホンなのだと思う。

#このイヤホンについてはまだ続きます。②にTo Be Continued。
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by i196 | 2005-05-21 04:58 | iPod
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